心理学

学問としての心理学の難しさ

認知理論には期待していない。最近なんでかわかんないけど認知心理学(ひいてはその応用である認知行動療法)が嫌いになった。否、本当はわかっている。どうして嫌になったか。おそらく、そこに一抹の虚偽を感じるようになったからだ。学問であることの根底…

ユングコレクション13「夢分析」/ユング より抜粋

ユングの夢分析についてのセミナー録から。理論ばかり、ヴィジョンばかり、トランスパーソナルとかいう厨二病ばかりにもてはやされるユング氏だが本書からはおそらくあまり知られていないであろう純・心理学者としての彼の肉声が聴き取れる部分がたくさんあ…

意味に縛られる人間

そして、「意味を怖れる人間」だ。人間ってのは自分で思っている以上に意味に縛られていると最近思う。「言語」に縛られているというよりは、「意味」に縛られている。意味のために生きようともすれば、死のうともする。自分の存在意義やオントロジー(存在…

感情はどこからやってくるのか 〜現象学の視点から〜

追記:2009.9.16 本書のキーは「ゲーデルの不完全性定理」。文系的に表現すると、この世の「不条理」。 理性を研ぎ澄ましていくと、人間の認識は必ずこの不条理にぶちあたる。「なぜ生まれてきて、なぜ死ななければならないのか。」人間にその理由が教えられ…

 《時間》はホメオスタシスがもたらした錯覚の一種

先にキーワードを3つ。 1、ピアジェの発達理論「対象の永続性」 例えば目の前にコップがあったとして、これを何か(板とか)で隠されても、我々はそこにコップがあることを容易に理解できる。赤ちゃんが「いないいないばぁ」を喜ぶのは、この〈対象の永続…

「恐怖と不安の違い」

・【恐怖】を考える時は【不安】とリンクさせて考えよ。 対象が明確な時―――「恐怖」といい、 対象が明確でないとき―――「不安」という。 臨床の病理的に考えた時にも、恐怖症にはすべて明確な対象が存在する。「対人恐怖」「広場恐怖」「先端恐怖」「高所恐怖…

逃げる。逃げれば逃げるほど追いかけてくる。追いかけてくるから怖くなる。 ―――逃げるから怖い。 遠ざけようとするから、恐い。 逃げる前に、ぶちのめせばいい。 「恐怖」は、自らの内に、ある。

「夢」を見る意味・「眠る」ことの意味

日本での合宿の後、ある女性が夜に見る夢がずっと鮮明で色彩豊かになり、とてもはっきりと覚えていられるようになったと話してくれました。 これはよくあることで、視覚システムの緊張をゆるめ、上部視覚野から方向づけることを学習していると、夜になっても…

「意識で考える」ことは脳内に新たな経路を発生させる活動

脳とはすべての動きの発生装置です。考えもまた動きの一つです。考えはMRI(核磁気共鳴画像法)によるスキャン画像によって、実際に体を動かしている時と同じような電気化学的処理が脳で行われていることが見えています。実際に体を動かす時と、ただ単に頭で…

外的変化は人間の「内側」から起こる

[rakuten:book:11574219:image] 確かに、話しことばから書きことばへのシンボル体系の変化は、人間の精神過程に大きな影響を与えると考えられる。旧ソビエトのヴィゴツキー(Vygotsky,1963)は「テクノロジーや道具の変化が労働の構造に変化をもたらすように…

身体全体につながる【眼】のネットワーク 「『アイ・ボディ』 / ピーター・グルンワルド」

最初この本を読み始めた時、「何だこの本は?」と思った。「何をいきなり言い出すんだ、こいつは?」と。笑 そういうのの連続でしたね。一般的に読んできている本とは明らかに趣が違う。聞いたことがない話だ。しかしこいつには近年まれに見る知的好奇心を覚…

ラポールと防衛本能としての警戒心

新刊・苫米地本。 本書は氏自身の構築したコーチング理論が主だが、本当にイントロダクションと言った感じ。あえて言うと昨年のスコトーマ系話題をコーチング理論にあてはめて展開しただけ。正直あんま買ってまで読む必要は、ないわ。ただやはり随所に、とい…

「無意識」領域の学問は基本的に禁学

―――だと思ったわ、最近。禁学、禁止された学問、ね。もしくは禁止されるべき学問。 だって、卑怯だモンな。 絶対に勝てる技をこちらだけ知ってる、それで勝つ、そんな勝負、そんなケンカ、というか。 知識を知ってしまっていることで圧倒的優位に立つ。 そん…

「代理によるミュンヒハウゼン症候群(Munchausen Syndrome by Proxy =MSBP)」について

親が子の症状を偽り・捏造した上で、子を病院に一緒に連れていくことで無意味な治療や処置を行わせること。1977年に児童虐待の新しい形態として、Roy Meadowにより、イギリスの医学雑誌ランセットに初めて紹介された。MeadowはMSBPを児童虐待であると論じて…

芸術家の頭の中は?独創の源を解明へ、理研と芸大が連携

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090124-OYT1T00533.htm 一流の芸術はどのようにして生まれるのか? 東京芸術大学(宮田亮平学長)と理化学研究所(野依良治理事長)は、第一線で活躍する芸術家の脳の活動を詳しく調べる共同研究に乗り出す。芸術と…

短期記憶のメカニズムについて―――「単一の細胞が記憶を保存する仕組みが解明された / Nature Neuroscience誌」

http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1803029 Single cell 'can store memories' BBC News 1/26 単一のマウスの脳細胞が「short-term memories:短期記憶」を保持する為には、 chemical receptor:化学レセプターのスイッチが入る事が必…

ひらめきとは必然である 「99%は論理力、1%は直観力 / 竹内薫」

99%は論理力 1%は直感力作者: 竹内薫出版社/メーカー: ビジネス社発売日: 2007/10/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (4件) を見る 最近売れっ子、物理学者・竹内薫氏。最近で有名なものでいったら、「99%は仮説」とかだろ…

驚異的な記憶力が激突、NYで『全米記憶力選手権』開催

http://wiredvision.jp/archives/200403/2004030505.htmlhttp://wiredvision.jp/archives/200209/2002090402.html へー。これってホントにやってるのね。記憶力選手権…言いかえれば「どれだけ物忘れしないか選手権」ということだと思うが、記憶と物忘れはふ…

ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果 - Wikipedia 人は達成できなかった事柄や中断している事柄のほうを、達成できた事柄よりもよく覚えているという現象。 ドイツのゲシュタルト心理学者、クルト・レヴィンの「人は欲求によって目標指向的に行動するとき 緊張感 が生じ持続…

不動のセルフエフィカシー(自己肯定)は自分で築くもの。『病になる言葉 / 梅谷薫』

「病」になる言葉──「原因不明病」時代を生き抜く作者: 梅谷薫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/11/27メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 15回この商品を含むブログ (3件) を見る 星:★★★★ 今日から、読んだ本の評価度を「星」でも表現してみたいと思…

『パラダイムシフトするような学習は、ひらめきが起こす』/茂木健一郎

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090105/181899/ 細々としたものは別として、ドーンとパラダイムシフトするような学習は、ひらめきで起こしています。このように、ひらめきの1つは、瞬間的に完了する学習のことを指します。他にも例えばマ…

謹賀新年

2009年になりました。あけましておめでとうございます。今年も「お変わりなく」―――――――…なんてことのないように、あえて変化、変化の一年にしてまいります。いいこと、「お変わりなく」なんて言ってるうちは永遠に、まじで、お変わりなく一生が終わるの…

散歩をしているとアイデアが浮かぶ理由(わけ)

一定のリズムで歩き続けることにより、脳内でドーパミンが出て集中状態になるため。これは、一種の変性意識状態といっていい状態のため、ポンっと―――まるで数学者がいいアイデアを思いつくように―――、閃きやすくなる。 古来より頭の良い人間は歩きながら思索…

『価値創造』と『ゲシュタルト』について

人間は、価値を創造する生き物である。一生の間で、人間は様々な価値を創り出しながら生きている。 例えば「木」を組み合わせて「はしご」をつくる。それをつかって人が上に上がる。単純だが、これも立派なひとつの生活の中に生まれた「価値」といえるだろう…

催眠の天才にして20世紀最大の臨床家ミルトン・エリクソン。『ミルトン・エリクソン その生涯と治療技法 / ジェフリー・ザイグ』

ミルトン・エリクソン―その生涯と治療技法作者: ジェフリー・K.ザイグ,W.マイケルムニオン,中野善行,虫明修出版社/メーカー: 金剛出版発売日: 2003/07/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (4件) を見る ぶっとびます。そして思…

悪魔のフォーク

錯視と言えばこれもそのひとつ。題名は「悪魔のフォーク」。 ね?すごいでしょ?笑

視覚はだまされる――毎年恒例「錯視の世界コンテスト」

→WIRED VISION 『Neural Correlate Society』(神経相関学会)による第3回『錯視コンテスト』が行われた。今年の最優秀作品は「ピサの斜塔」。同じ傾きなのに、二枚並べると右の絵の方が傾いて見える。(上のニュース参照) この現象が起こるのは、視覚系がこ…

病気と症状は違う 〜「病気」をどうとらえるか〜

臨床哲学の知 ~臨床としての精神病理学のために作者: 木村敏,今野哲男(聞き手)出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2008/10/02メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (10件) を見る木村敏氏は京都大学名誉教授、河合文化教育研究所…

3Bの法則

テレビコマーシャルや視覚的に訴える広告の基本のことを3Bの法則、という。 「B」とは「Beaty」(美女)「Baby」(赤ちゃん)「Beast」(動物)の頭文字をとったもの。 これらをとりあえず出せば、CMの宣伝効果が意識的・無意識的に上がる、というもの。 ソ…

『我々は皆、この宇宙の【参与観察者】でしかない』

1988年、ニューメキシコ州サンタフェである会議が開催された。これは世界中の一流の物理学者40人と数学者が若干名参加し、「複雑系、エントロピー、そして情報の物理学」について意見が交わされた。この会議の議長を務めたのが79歳になるアメリカの…