学問は人間から始まり、人間に帰着する。
そこに共通しているのは結局、
「人間とは何か」
という永遠のテーマだ。
御幣を恐れずにいうならば、物理学、生物学、言語学、歴史、社会学、法律、政治、医学、心理学…全部がそう。
この不可思議な『人間』というものが、宇宙生まれて以来この世に発生してしまったがばっかりに、それに端を発して学問は誕生し、必要とされ、発展してきた。
結局、人間は「自分が何者なのか知りたい」のだ。
進化論的に見ても人間だけが特異で、奇妙な存在であること。
それはもはや誰人も異論を挟まぬところであろう。
そして、みんな自分が何なのか、分からない。
そう、人間は、種として生まれた時から「生き迷っている」のだ。
僕が「人間から始まり、人間に帰着する」というのはそういう意味で。