ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」を読む

論理哲学論考

本書はおそらく、ここに表わされた考えか、少なくともこれに似た考えを、すでに自ら考えたことのある人にだけ理解されるだろう。だから、ためになる本ではない。理解をもって読んでくれる一人を喜ばせられるのなら、目的は果たされる。

<序文>より

で始まり、かの

語りえぬことについて人は沈黙する。

でしめられる本書。


実際読むとけっこうとっつきやすい。新書あたりで予習して予備知識があるとなおとっつきやすい。哲学でありながら詩のような綺麗さがある。あと、案外短い。


「語りえぬことについて〜」の真意は、『「倫理」や「価値」といったものは、この世界の内側では語れないものだから』といったところか。


ラッセルに師事して論理学を学び、論理の世界を研ぎ澄ましていった先に「論理は超越論的だ」「倫理は超越論的だ」と言い放つところがなんとも印象的。名言多数。しびれた。内容的にも、現在の視点から見て大部分、同感だ。その意味で自分としては、生涯そばに置いておきたい一冊。