気分… mood
感情… emotion(affect)
「気分(mood)」とは臨床心理学的な定義では、「ある程度の期間持続する」感情のことを指す。よって「気分障害」という名前には、おのずと一定期間感情が障害されている状態が持続している、の意が含まれている。気分×障害だから。
2009,現在における分類。
1・単極性障害(うつ病相のみ)
「うつ」という言葉は最近になってこそ「心のカゼだ」なんて言われ始めて浸透して使われている言葉な感があるが最近ではうつではなく「うつ病」とちゃんと言おう、と言い始めている医者もいるそうだ。理由は、近年では日常的な気分の落ち込みまで「うつ」と一般的に言われるようになり、「うつ」の言葉の意味が広くなっているから。つまり昔より「うつ」のハードルが低い。そういうのは『憂鬱な気分』ときちんと言った方がいいのでは?とのこと。そこで、医者によって診断される〈うつ病相〉つまり「うつ」ではなく「うつ病」の症状を明確に示しておきたい。
■うつ病相
―――憂鬱な気分が重くなってくると「うつ病」に近くなっていく。
基本的な病相は3つ。以下がそれ
- 抑うつ気分(物悲しい気分)
- 不安焦燥感
- 意欲の低下・おっくう(精神運動抑制)=抑制症状とも呼ぶ。
3は「やる気はあるんだけど身体が動かない」と患者はよく言う。
これが超基本。場合によってはここにさらに
- 幻覚・妄想
→妄想は《思考》の障害。幻覚は《知覚》の障害。
- 身体症状(睡眠障害・めまい・便秘など自律神経系の失調)
→最後に出てくる。
これらが強く、ある期間、大体月単位ででてくる。それをうつ病といえばいいかと。持続している「長さ」と「強さ」が問題。「〜歳のとき症状が出て、〜歳の時治ったけど、その後〜歳のときにまたぶり返して…」みたいな患者の流れのことを《エピソード》と呼ぶが、このエピソードでもって判断することが重要。例えば統合失調症などは大学生時代(20歳代)に一度うつ病相として診断されていることが多く、それがその後経過として数年後に本格的に発症、というケースがよくある。つまり統合失調症の《前駆期》においてうつ病と見なされることが多いということ。見過ごされることがままある、ってことね。「流れ」が大事です。
■葛藤に対してカウンセリングすると、コーピング的になってしまう。
「人間関係で悩んでて」等の話にあまり耳を傾け過ぎるのもよくない。それらは引き金に過ぎない。それにカウンセリングしても治らない。根本の原因ではないから。誘因に過ぎないから。原因は脳にあるとしか言えない、とのこと。エネルギーが下がっていることそのもの、つまりは「抑制症状」がうつ病の本体では?とも。
―――とはいえこれはカウンセリングマインドに関する話なので、これを読んだあなた様におかれましては、友人のうつ病にはしっかりと向き合って話を聞いてあげて頂きたい。たしかに友人や家族の支えがあっても全く助けにならないうつ病というものも存在するが、一般的に抑うつ状態の多くは時間の経過や支えてくれる友人の存在などによって癒されるものでもありますゆえ。
■与太話
宮沢賢治は躁うつ病だった。なんでも躁状態の時に筆を走らせて作品を執筆したらしい。もしかしたらその前の軽うつ状態のときに幻覚なんかを見ていた可能性。つまり「風邪の又三郎」や「銀河鉄道の夜」は幻覚の産物かもね、っていう話。なんでも当時の教え子曰く、夜中に起きだして整列させて歩きだしたり、もうなんかそこまでいくと苦笑いだが、大変だったらしいってさ!…っていう話を聞いた。
あと作家ゲーテも聞くところによると躁うつ病。夏目漱石、ヘミングウェイ、チャーチルとかも。なにかと天才とか芸術家に精神の病はつきもの。
ここまでいくと、まさに、「創造性の病」。オゥ、シット。