今西進化論

今西進化論は、サル学の研究で有名な今西錦司が唱えた進化論。
ダーウィン進化論が「自然淘汰」と「適者生存」を柱にしているとすれば、今西進化論は「棲みわけ」と「種社会」を中心的な概念とするもの。


京都の賀茂川にはカゲロウの一種であるヒラタカゲロウが4種生息している。川の流れの速さに応じて、流心から4種が順にきれいに並んで分布していることを発見。季節を変えても幼虫は同じように分布していることから、その現象を「棲みわけ」と呼んだ。


さらに、カゲロウの幼虫という個体が棲みわけをしているだけでなく、カゲロウという種全体が棲みわけをしていると考え、その棲みわけをしている集団を「種社会」と呼んだ。


今西進化論は生物の世界が多数の種社会から成り立っていて、それぞれの種社会が棲み分けることによってお互いに共存していると考える進化論。また地球上には150万種という多様な生物が存在していることから、生物は自然淘汰による生存競争ではなくて、自らが生存できる場所を拡大しながら進化してきたと考えた。ダーウィン進化論の「生存競争による自然淘汰」を真っ向から否定。