- 作者: ロバート・ディルツ,田近秀敏,佐藤志緒
- 出版社/メーカー: ヴォイス
- 発売日: 2008/04/25
- メディア: 単行本
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以上、NLPの基礎の説明が長くなりすぎてしまったが、大切なのはここから。本書のテーマ、「天才達のNLP戦略」の分析がまだ残っている。w
といっても、もうこれ以上引用する気力もほとほとないので、最低限本書のアウトラインを引用するにとどめることにする。まぁ自分の中のメモ的意味合いってのが大きいのでね。見ただけではわからんでしょうが、まぁ詳しくは自分で読め、ということでね。笑 自分にはかなり興味深い内容の本でした。。。
本書では『天才』と称して4人の人物を挙げている。
シャーロック・ホームズに関してはもはや架空の人物だが、ロバート・ディルツ氏から見ればNLP戦略にとても適った行動をしているのだそう。(実際、シャーロックホームズの分析のところが一番面白かった。。)彼らに見られる『天才に共通するパターン』をまとめると以下のようになる。
1、非常に優れた視覚能力を持っている
彼らの中心的感覚要素は視覚である。
- 「ストーリーの中の個々の演技内容がどのように仕上がるかはっきりと思い描けなければならない」(ディズニー)
- 「僕は(その曲全体を)名画や美しい彫刻を眺めるように調べることができる」(モーツァルト)
2、感覚間に無数のリンクを張り巡らせる
視覚が中心とはいえ、この4人の天才達にはその他の感覚すべてを活用する傾向がみられる。次の例を見れば彼らが明らかに共感覚を有していたことがわかるだろう。
3、複数の観点を活用する
「あるテーマやプロセスを常識とは異なる観点から楽しもうとし、まったく新しい観点を発見する」これこそ天才に最もよく見られる特徴のひとつにほかならない。
- ディズニーは異なる視点を体系的に活用し、たとえば自らのストーリーや計画を「他者の視点から見直すようにしていた」
- ホームズは「文化的パターン」や「世界情勢についての知識」だけでなく、かなり専門的で難解な知識も活用しながら推論を立て、結論を導いた
4、知覚位置の切り替えが非常に上手である
つまり「第一のポジション(自分自身)」「第二のポジション(他者)」「第三のポジション(傍観者)」をスムーズに切り替えることができた。
- ホームズは捜査の段階で犯人の知覚位置に立つことができた
- ディズニーは自分自身がアニメキャラクターの気持ちになることで、その振る舞いを表現しようとした。また一方で、自分自身の知覚位置を離れ、観客の視点に立つことができた
- モーツァルトは「交響曲の立場」に立つことができた。彼はこう述べている。「程度の差はあるが、ある時点に達すると、曲そのものが自然と続きを作曲していくようになる」
- ミケランジェロも「一個の石の立場」になることができた。「私が像を作っているのではない。大理石の中にすでに像がいて、私に解放してもらえるのを待っているのだ」
- コンピュータの天才といわれる人々も「コンピュータの立場」から世の中を眺めることができる
異なるチャンクサイズと思考レベルを行き来する能力がある
4人の天才達は皆、幅広いビジョンと具体的な行動・要素を自由に行き来し、より大きな全体像を再構築したり明らかにすることができた。小さなことにもきちんと処理する一方で、その種の細かなことだけにとらわれることもなかった。(ミクロの視点とマクロの視点を行き来できた)
6、曖昧なものと具体的なものの間のフィードバック・ループを維持する
彼らは「抽象的なモデルや原則」と「そういった抽象概念の具体的な表現」の間を自由に動き回る能力を身につけていた。彼らは自分が対処している具体例の中に「より高いレベルの原則や特徴」を見つけたり、それぞれの要素間の世界からのフィードバックを通じて、自らのアイデアや理論にさらに磨きをかけていた。同時に、より抽象的な原則からのフィードバックを通じて、自らのスキルにさらなる磨きをかけることもできたのである。
7、三つの認知機能(ドリーマー、リアリスト、クリティック)のバランスをとる。
天才はただ夢を見ているだけではない。彼らは自らの夢を具体的な表現で明らかにすることができた。それができたのは、天才は自らのアイデアを批判的に考える能力とスキルを兼ね備えていたことを意味する。彼らにとって「批判的に考える能力」とは「夢を見る能力」と同じくらい重要なものといえるだろう。この能力があるからこそ、天才のアイデアは真の意味で標準以上のものになりうる。ただし、批判的に考えすぎてせっかくの夢を台無しにしないことが大切。
8、根本的な質問をする
天才には「答え」よりも「質問」を重視する傾向が見られる。それは、天才に共通する主な特徴が「好奇心」と「強い興味」であるからに他ならない。自分がすでに知っているものを確認したり、それらに固執したりするよりもむしろ、彼らは自分の知識では不十分な領域を探し求めているのだ。
- アリストテレスは絶えず自問するために「4つの根本的な質問」と「自らの仮説と前提を確認するプロセス」を定義した
- ホームズはワトソンに「(人は)事実に合う理論を組み立てないで、理論に合わせて事実をねじ曲げてしまいがちだ」と警告している
- ディズニーは「研究と実験を繰り返さずにはいられないんだ。自分の想像力の乏しさには腹が立つよ」とコメントしている
9、メタファー(隠喩)とアナロジー(類推)を活用する
天才は常にメタファーと水平(または非直線的)思考戦略を活用している。
- アリストテレスは常に実例とアナロジーを用いて自らのアイデアを例証していた
- ディズニーの仕事はまさにメタファーを創り出すことだった
- モーツァルトはメタファーやアナロジー(例:「一さじを利用してごちそうをつくる」)を多用し、自らの音楽を「名画や美しい彫刻」に例えることで作曲プロセスを説明しようとした
メタファーを活用したおかげで、彼らは目の前の状況や現実的な制約に縛られすぎることがなかった。その結果、共通感覚や自分の内外に存在する「より奥深い原則」に焦点を絞り込むことができた。
10、個人のアイデンティティを超えたミッションを持つ
4人の天才達は次のようなミッションを追求したといえるだろう。
- アリストテレスは自然界の「第一の原理」を探し求めた
- ホームズは「人生という一本の長い鎖」が織りなす複雑な事件、謎の究明に努めた。
- ディズニーは「この作品(アニメーション)は『カートゥーン(漫画映画)』じゃない。私たちの目の前には、乗り越えなければならない世界が広がっているんだ。アニメーションは人の心に浮かぶものなら何でも説明できる」と主張した。
- モーツァルトは作曲を「僕の魂を燃え上がらせる」作業だと表現した。さらに、創造的才能を与えられたことを「聖なる創造主」に感謝している
- 「私は、神がどうやってこの世界を創ったかが知りたい。あんな現象、こんな現象、あの要素やこの要素の及ぶ範囲などは興味がない。私が知りたいのは神の考えだ。残りはすべて、些細なことでしかない。」(アルバート・アインシュタイン)
ひとつ共通しているのは、彼ら天才が自らの仕事を「自分以外の何か大きなものから生み出されるもの」だと考えていること。「素晴らしく創造的」であるのに「天才」ではない人は星の数ほどいる。おぞらくこの「何かより大きなもの」とのつながりがあるかどうかで、本物の天才とそうでない人の差が決まるのだろう。