心の病の「処方せん」 山形の医師、症例まとめ出版

http://www.kahoku.co.jp/news/2009/01/20090106t55004.htm

 

うつ病摂食障害自傷行為…。こうした心の病の「処方せん」にしてもらおうと、山形市長町1丁目の小松医院理事長、小松信明さん(72)が「心の病の診察室」を出版した。医師として小松さんが向き合った約20症例を、患者の手記とともにまとめた。昨年11月発行の初版2000部が完売、増刷が決まるなど注目を集めている。

 
小松さんは東京慈恵会医科大を卒業後、福島県立医科大精神科勤務を経て、1970年に小松医院を開業した。


 医療現場の主流とされる投薬療法に疑問を持ち、患者との対話を重視した「精神分析療法」を実践。隠れた心の傷と、その原因を患者自身に気付かせ、受け止めさせる手法で、患者1人に対し、最低20分から1時間のカウンセリングを1、2年続けるという。


 「愛に飢えた幼い心」と題した冒頭の1章では、小松さんのカウンセリングで、うつ病を乗り越えた30代女性の手記を紹介している。


 女性は生後まもなく実母にコインロッカーへ置き去りにされ、血のつながらない母親にも虐待されて育った。憎しみから精神のバランスを崩し、手首を切ったり睡眠薬を飲んだりして何度も自殺を図ったという。


 手記で女性は過去の体験を振り返るとともに、「つらく悲しい過去を持つわたしが、ここまで変われるとは思いもしませんでした」「カウンセラーになることを目指し、一日一日を大切に生きています」と前向きな心境を語っている。


 「心の病の大半は、幼少時の家庭環境に原因がある」という持論に基づき、子育て世代への助言にも紙幅を割いた。「子育ては、すべてに優先する」「一日最低30分は、肌と肌とを触れ合わせて心の交流を」などと呼び掛けている。


 書店で気軽に手に取ってもらおうと、表紙には、ハートを抱いて笑う子どものイラストを載せた。


 小松さんは「『闘病体験を広く伝えてほしい』という患者の声に応えたかった。社会不安が広がり、心の病を訴える患者が増えている。『心の病は必ず治る』というメッセージを受け取ってほしい」と話している。
 税込みで1470円。連絡先は太陽出版03(3814)0471。



【2009.1.7 河北新報ニュース】


精神分析療法を行う人の理由がこのニュースを読んで初めてわかったような気がする。

投薬療法に疑問を持ち、患者との対話を重視した「精神分析療法」を実践。

の部分ね。「効き目…は心理療法だからそりゃあるんだろうけど、実際どういうことなの、精神分析って?なぜそれを選んだの?」という思いが正直、あった。そうか、ある意味、精神分析を投薬治療の対極にある治療技法と考えればいいのか。薬が治すのはあくまで「症状」であって、「病気」そのものではない可能性がある。そういう意味で考えると、心理療法といってもその数あまただが、その多くが【語り】(ナラティブ)を重視しているのもなるほど、うなずける気がする。


【語り】か…。


なんか深そうだ。考える余地がまだまだあるかも。