生理的な手がかり:B.A.G.L.Eモデル

これはFBIの犯罪捜査でも使われている概念。

B――Body posture(身体の姿勢)

人は深く考え込んでいるとき、似たような姿勢を習慣的にとるもの。そういった姿勢を参考にすればその人が用いている表象システムについて多くを把握することができる。NLPでは、「アイデアを視覚化している時、人は直立の姿勢をとる傾向が強い」と考えられている。また「誰かの話を聞いているとき、人は腕組みをし、やや後ろに反り気味になりがちである」「何かを感じているとき、人は前かがみになり、深く息を吸い込む傾向がある。」と考えられている。これは、その人が感じているのが「肯定的な感情か否定的な感情か」を示すものではない。ただその人が「感覚にアクセスしている状態」を示しているだけである。

  • 視覚優先の人――頭を上げて背筋を伸ばし(または猫背で)浅い呼吸をする
  • 聴覚優先の人――腕組みをし、頭を傾けてやや後ろに反り気味になる
  • 体感覚優先の人――前かがみになり、深く息を吸い込む

A――Accesing Cues(アクセシング・キュー)

人は考えているとき、様々な非言語的な手がかりを残している。たとえば「呼吸の速さ」「言葉にならない低いうめき声やうなり声」「顔の表情」などはその典型例といえるだろう。同様に「指を鳴らす」「頭をかく」というのも非言語的な手がかりと考えられる。そのうちいくつかは個人特有のもので、その人に合わせて「キャリブレート」する必要がある。例えば、視覚化しているとき、人はやや高速の早いペースで話す傾向がみられる。また何らかの感情に浸っているとき、ほとんどの人はゆっくりとしたテンポで、いつもより低い声で話すものである。声のパターンを変化させれば、人々の心理状態に影響を及ぼすことも可能である。
また声のトーンや話すテンポは、相手の認知プロセスを作動させる「引き金」として用いることも可能。一般的に、声のトーン、テンポ、リズムを変化させながら流れるように喋ると、聞き手側は自らの聴覚に集中するようになる。


  • 視覚優先の人――速いペースで浅い呼吸をする。目を細める。いつもより甲高い声で早口に喋る
  • 聴覚優先の人――横隔膜で呼吸する。しかめっ面をする。声のトーンや喋る速さが不安定になる。
  • 体感覚優先の人――腹式呼吸をする。いつもよりゆっくりとしたテンポで、ハスキーな声で喋る。

G――Gesture(ジェスチャー

ほとんどの場合、人はその瞬間最も活動している感覚器官を無意識に指し示すものである。次にいくつか例を挙げる。

  • 何かを視覚化しようとしている場合――自分の目に触る。目の部分を指さす。目の高さでジェスチャーする
  • 他人から聞いた話を喋っている場合、または誰かの話を聞こうとする場合――自分の耳を指さす。耳のあたりでジェスチャーする。口やあごのあたりを触る。
  • 言葉を使って何かを考えている場合――人は(ロダンの「考える人」のように)自分の口のあたりに手を持ってくる。
  • 自分の感情を表している場合――胸や胃のあたりを触る。首から下でジェスチャーする。

E――Eye movement(目の動き)

目の動きは、最も興味深い行動上のミクロ的手がかりであると同時に、NLPに最も関連の深い要素でもある。まさに「目は心の窓」なのである。
NLPでは目を「精神の窓」と捉え、人の視線の方向を重要な手がかりとみなしている。たとえば視線が上を向いている場合は、その人が視覚化を行っている証拠。その他にも、

  • 人は話を聞いているとき、視線を水平上に動かす傾向がみられる
  • 視線を下にするのは、その人が何かを感じている証拠である
  • 左に視線が向くのは「記憶」をたどっている状態を、また右に向くのは「想像」をはたらかせている状態を示すことが多い

人の無意識的な目の動きは、その人が思考中にアクセスしている表象システムを示す場合がほとんどである。NLPではこの手がかりを次のようなパターンに分類している。(見方は、画面向かって。↓)左を見ている場合は脳内で「記憶」にアクセスしており、右を見る人は右脳的な創造活動を行っているといえる。FBIではこれを利用して左上・左を見ている場合、それはちゃんとした記憶による手がかりであり、逆に右上を見ている場合は記憶の根拠のない情報であり、考え事をしたりしている状態である、といった具合に判断している。


・左上:思い起こす(r)視覚(V)        ↑     ・右上:構築する(c)視覚(V)
・左:思い起こす(r)聴覚(A)        ←・→     ・右:構築する(C)聴覚(A)
・左下:聴覚(A)デジタル(d)         ↓     ・右下:体感覚(K)  

L――Language patterns(言語パターン)

ほとんどの場合、言葉を手がかりにすればその人の思考プロセスが明らかになる。

  • 「このアイデア、何かが間違っているような気がするんだ」(体感覚)
  • 「このアイデアに異議を唱える声が聞こえる」(聴覚)
  • 「『注意せよ』と何かが語りかけてくるんだ」(言語)
  • 「私にとってこのアイデアは非常に明確なものです」(視覚)

神経言語を分析する第一の手段は、ある特定の言語パターン(たとえば述部)を探すこと。そういったパターンには、その人の神経にまつわる表象システムやサブモダリティ、さらに思考プログラム全体に用いられているシステムや性質が示されている。
たとえば視覚優先の人は「明らかに」「描く」「ぼんやりした」といった視覚的言語を用いるし、聴覚優先の人は「響く」「騒がしい」「ピンとくる」「語る」などを使いがち。体感覚優先の人は「把握する」「感じる」「対処する」「大ざっぱな」「結びつける」などを使う傾向にあるようだ。