交流分析(TA)とアダルトチルドレン

[交流分析(Transactional Analysis)の人生脚本に作用する「禁止令(injunctions)」とアダルトチルドレンの問題]: Keyword Project+Psychology:心理学事典のブログ

交流分析(Transactional Analysis)の人生脚本に作用する「禁止令(injunctions)」とアダルトチルドレンの問題 】




人々が知らず知らずのうちに演じてしまう人生プランとしての『人生脚本(Life Script)』の内容には、幼少期に親から意識的(無意識的)に与えられてきた禁止令(injunctions)が大きく影響している。人生における基本的な行動パターンや問題対処行動を決定する『人生脚本』には、『自分は何者であるのか?』『自分はなぜ、このような行動パターンを取るのか?』『自分はどのような人生の選択をすべきなのか?』について大まかな解答が書き込まれていることが多く、人生脚本を分析することによって『自分がどう生きていくべきなのか』についての指針や示唆を得ることができる。


子供が子供らしい自由で安全な家庭環境で過ごせずに大人になると、精神障害や環境不適応、人間関係の問題を発症しやすいアダルトチルドレン(Adult Children)のアイデンティティを獲得してしまう場合がある。子供時代に『子供に必要な愛情・保護・安心』を得られないままに大人になった人で、精神的な苦悩や生きづらさを抱えている人をアダルトチルドレンというが、アダルトチルドレンの発生には交流分析(TA)でいう『禁止令(injunctions)』が深く関係している。


交流分析の禁止令(injunctions)とは、精神的ストレスを強く感じている情緒不安定な親(フラストレーションが強くて攻撃的になっている親)が、意識的・無意識的に子供に与える『不合理(理不尽)な禁止規則』のことである。エゴグラムでいうと、親の『子供(FC)の自我状態』が子供の『子供(FC)の自我状態』に与える悪意に満ちた不合理な禁止規則のことであり、エリック・バーンは子供の人生に破滅的な悪影響を与える禁止令(injunctions)のことを『魔女の呪い』と呼んで警戒した。


現代の日本で増加傾向にある児童虐待の問題の背景にも、『自分が悪い子だから、自分は厳しく親から罰せられるのだ』という禁止令が作用していることが多い。禁止令は明確な言語的メッセージによって伝えられるよりも、非言語的な態度・表情・仕種(ジェスチャー)で無意識的に伝えられることが多い。


交流分析の禁止令(injunctions)を臨床的に研究したグールディング夫妻(Robert Goulding & Mary Goulding)は、「するな」というメッセージで表現される禁止令を以下の13種類にまとめた。


1.生存するな!

2.成長するな!

3.お前の性であるな!

4.子供のように楽しむな!遊ぶな!

5.重要な存在であるな!

6.成功(達成)するな!

7.所属するな!

8.健康であるな!

9.親しくなるな!

10.感じるな!

11.考えるな!

12.実行するな!

13.欲しがるな!


うつ病気分障害)やパニック障害強迫性障害社会不安障害などのリスクファクターとなるアダルトチルドレンの問題の根底には、幼少期の時代から繰り返し伝えられてきた禁止令(injunctions)が関係していることが多い。アダルトチルドレンに対する心理療法(カウンセリング)では、この自己否定的(将来悲観的)な禁止令を論理的・情緒的に反駁する認知療法やロールプレイングを取り入れたゲシュタルト療法などを実施していく。最終的には、アダルトチルドレンという自己アイデンティティを脱却して、『私はこのように生きていきたい。私は過去に束縛されずに、今・ここからこのようにやっていくつもりだ』という積極的な再決断をすることが重要になる。


自己否定的な禁止令と拮抗(対抗)する禁止令として、親の『親(CP)の自我状態』から子供の『親(CP)の自我状態』へと伝えられる『拮抗禁止令(counter-injunctions)』というものもある。拮抗禁止令とは、『その禁止規則さえ守っていれば、子供の自我状態が受けている禁止令を無視することができるという禁止令』のことである。自分自身に対する要求水準が高く、完全主義欲求に従って完璧に仕事や学業をこなそうとする人に、この拮抗禁止令の影響が見られることがある。


T.ケーラーは、拮抗禁止令として『完全になれ・強くなれ・もっと努力せよ・親や他人を満足させよ・もっと急げ』の5種類を識別したが、社会環境や企業組織・人間関係に対して過剰適応を起こし強いストレスを感じている人にも、この種の拮抗禁止令を守っている余裕のない人(強迫観念や強迫行動の傾向がある人)が多い。

さしずめ「子どもなんか産みたくなかった」「結婚なんてしたくなかった」が1。「あんたは馬鹿だから〜」等が2か6とかだろうか。
禁止令は主にメタファーで伝達される。


「子供は非論理的だから、邪険に扱ってもいい」と考えてる大人もいるようだが、どうやら実際の子供はガラスのように繊細でかつ、我々が思っている以上に論理的な思考もするようだ。じゃなきゃあメタファーなんて理解できないわな。というか理解しているのが意識内、なのか意識外(=無意識ね)なのかは定かではないが。。。(おそらく無意識的な処理だろう)



また、拮抗禁止令というのについても言及があった。

T.ケーラーは、拮抗禁止令として『完全になれ・強くなれ・もっと努力せよ・親や他人を満足させよ・もっと急げ』の5種類を識別したが、社会環境や企業組織・人間関係に対して過剰適応を起こし強いストレスを感じている人にも、この種の拮抗禁止令を守っている余裕のない人(強迫観念や強迫行動の傾向がある人)が多い。


だそうな。