人間とチンパンジーの違い、『声』。

前にも書いたが人間とチンパンジーのDNAの差は1.2%しか違わない。しかし、この差は遥かな距離を持つ1.2%である。もし君が、横にチンパンジーを置かれて「君はこのチンパンジーと1.2%しか遺伝子レベルで違いがないから、ほぼおんなじ生き物だね!」と言われたら、はいそうですね、と素直にうなずける人が何人いようか。『確実にこのチンパンジーと自分が同じなハズはナイ…!!笑』と思う方が普通だよ。笑


最近誰だったか(今西錦司氏だったろうか)も「もはや猿と人間をいくら比べても、人間のことはいつまでたっても分からないのが現状だ」という主旨の事を言っていたのを読んだ。人間のことは人間を調べなければ分からないのだ。「そうですよねー…」なぁんつって手ぇ叩いて変に納得したもんさ、俺。


人間とチンパンジーの違いを『声』の観点で見てみると、
チンパンジーが文節的な言葉の発音ができないのは、喉、舌など、構音器官の構造が違うためである。人類が二足歩行になったことによって、声帯、発音器官が下に向かって下がり、喉の奥から口蓋にかけての構音器官の発達に繋がったとされている。


「声を発する」というのは身体的な行為なのである。


鳥が翼をもって空を飛んだり、魚が水の中を泳ぐようにするのと同じように、人間は「声を喋る生き物」なのだ。「声を喋る器官を持っているから」喋れるのだ。


赤ん坊が何を教えなくとも、二本足で立ち上がり、言葉を覚え喋り始めていくのはなぜだろう。(よく考えてみればこれほど不思議なことはない。)
それは人間がそういう生き物だから、だろう。
それが人間の本来あるべき姿である、ともいえる。逆に、言葉を失った世界というのはどんな世界だろうか。とても想像することができない。



※ちなみに、犬が物を食べながらでも、うなったり、吠えれるのはこの構音器官の構造が違うからである。声=食・飲なのだ。