2008-07-24から1日間の記事一覧
アキレスと亀のパラドクスとは、運動の不可能性を示したものではなく、運動に対するひとつの語り方の特徴を指摘したものにほかならない。運動と運動の語りを区別するという、この観点から振り返ると、第三のパラドクスは時間・空間が点時間・点空間から成る…
第四のパラドクスは、多少分かりにくいせいもあって、4つの中でもっとも論じられることが少ない。だが、私の見るところでは、これは第三のパラドクスと対になっているのである。 駅Aを列車Bが通過する状況を考えよう。列車Bは駅Aの左側からやってくる。…
ゼノンの第3のパラドクスはまさにこの方向に向かっていると理解できる。 それは一見まったくの屁理屈に聞こえる。 「飛んでいる矢はどの瞬間をとっても、その瞬間には静止している。それゆえ、あらゆる瞬間にそれは静止しているのであるから、飛んでいる矢…
ゼノンのもうひとつのパラドクス(「分割のパラドクス」と呼ばれる)はこの構造をより鮮明に取り出している。 矢を的に向けて放つ。矢は的に到達する前に、まず弓と的との中間点aを通過しなければならない。さらに矢は、aに到達する前に、弓とaの中間点bを通…
ゼノンという人がいた。アリストテレスよりももっと昔の人だ。その人が4つのパラドックスを提起したと言われている。ゼノン自身がどういうつもりだったのか必ずしもはっきりしないのだが、パラドックス自体がとびぬけておもしろいものだったので、現在でも…
――手始めに比較的わかりやすいパラドックスを。 これは昔々、紀元前6世紀のお話です。クレタ島人が一生の間に発言することはただ一つ、〈クレタ島人は全員うそつきです〉ということでした。 ある日、クレタ島人の一人であるエピメニデスが〈クレタ島人は全…