パラドックス(矛盾)

言語は何ものをも言い表せない(「クワス算」)

お暇のあるときにどうぞ。 後期ウィトゲンシュタインのいわゆる「言語ゲーム」と、アメリカの哲学者ソール・クリプキによるその解釈が生み出したあるパラドックス。ある記号の意味はあるルールに則って規定されている。(例えば「+」とか)しかしそのルール…

:「トロッコ問題」

【トロッコ問題】とは、線路上で5人が動けない状態にあり、そこにトロッコが向かっている。あなたは線路のポイントを切り替えて5人を救うことができるが、その場合、代わりその先にいる同じく動けない一人が犠牲になる。 一人を犠牲にして五人を救うことは…

真理は証明の外にある 〜ゲーデルの不完全性定理〜

20世紀を動かした五つの大定理作者: ジョンキャスティ,John L. Casti,中村和幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 1996/04メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (1件) を見る 不完全性定理の流れを言語的に掴む 少し長くなるが、不完全性定理の…

アキレスと亀のパラドクスとは、運動の不可能性を示したものではなく、運動に対するひとつの語り方の特徴を指摘したものにほかならない。運動と運動の語りを区別するという、この観点から振り返ると、第三のパラドクスは時間・空間が点時間・点空間から成る…

第四のパラドクス

第四のパラドクスは、多少分かりにくいせいもあって、4つの中でもっとも論じられることが少ない。だが、私の見るところでは、これは第三のパラドクスと対になっているのである。 駅Aを列車Bが通過する状況を考えよう。列車Bは駅Aの左側からやってくる。…

第3のパラドックス 「矢は静止している」

ゼノンの第3のパラドクスはまさにこの方向に向かっていると理解できる。 それは一見まったくの屁理屈に聞こえる。 「飛んでいる矢はどの瞬間をとっても、その瞬間には静止している。それゆえ、あらゆる瞬間にそれは静止しているのであるから、飛んでいる矢…

第二のパラドクス 分割のパラドクス

ゼノンのもうひとつのパラドクス(「分割のパラドクス」と呼ばれる)はこの構造をより鮮明に取り出している。 矢を的に向けて放つ。矢は的に到達する前に、まず弓と的との中間点aを通過しなければならない。さらに矢は、aに到達する前に、弓とaの中間点bを通…

アキレスは亀を追い抜けないのか

ゼノンという人がいた。アリストテレスよりももっと昔の人だ。その人が4つのパラドックスを提起したと言われている。ゼノン自身がどういうつもりだったのか必ずしもはっきりしないのだが、パラドックス自体がとびぬけておもしろいものだったので、現在でも…

うそつきの島

――手始めに比較的わかりやすいパラドックスを。 これは昔々、紀元前6世紀のお話です。クレタ島人が一生の間に発言することはただ一つ、〈クレタ島人は全員うそつきです〉ということでした。 ある日、クレタ島人の一人であるエピメニデスが〈クレタ島人は全…

はじめに 「パラドックス」とは

パラドックスとは、正しそうだが間違っていることや、間違っているようだが正しいことを言う。 「若い」パラドックスだけでなく、完全に解決されたと思われている「古い」パラドックスでも、どうしても気持ちが悪いものがある。古代ギリシャ時代以来のゼノン…